2019年01月29日

食べること

新年明けて、1月の空は気味が悪いくらい穏やかでした。
イベントも来訪者もないこのシーズンは、スタッフ共々ゆっくりと過ごしています。

冬はもちろん畑に実りがありませんが、昨年頑張った甲斐あって、
今年は野菜も肉もまだまだ自家製を食べています。

雪国の自給自足は、たくさん栽培することだけでは完成しません。
食料をいかに保存させるか、加工や貯蔵の技術にかかっています。

たとえば夏から秋にかけては来る日も来る日もトマトとズッキーニでしたが、
今なら白菜と鹿肉。
都市では食べたいメニューを想定してから買い物に行くけれど、
ここではそのときある素材を使って調理をする。
毎日同じメニューじゃ飽きるから、おのずとレパートリーも増えるし、
料理の腕も上がりますね。

ここに来る人の中には「自然に寄りそった暮らしに憧れて来ました」
と言って、食べるものはまるで気にしないという方もいます。

もちろん、忙しい時や体調の悪い時は既製品で楽してもいいと思うし、
素敵なお店で外食して気分転換するのも大事だと思いますが、
「自然と寄り添う」一番の方法は「食べること」に現れると私は考えています。

それは、季節を味わう、自然の恵みに感謝することのできる
ありがたいチャンスなのだから。

その野菜が、大切な仲間を育ててくれたものなら格別ですね。
スタッフが寒い暑い中、せっせと世話をし、雪を掘り起こして収穫してきた野菜は、
どんなに小さくても形が悪くても愛おしさを感じるし、
美味しくいただこうと謙虚な気持ちになります。

スーパーで買ってきた野菜が冷蔵庫の奥底でしわしわになっていたら、
「しまった。ごめんね」と捨ててしまうのに、大好きな人が作った野菜なら、
たとえカビが生えていても捨てられませんよ。
食べられるところはないか、食べる方法はないか努力します。

生産者と消費者はそういう関係になるべきではないでしょうか。
「顔の見える関係」はパッケージに貼ってある写真じゃないのです。




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2018年12月20日

世界の目指すゴール(SDGs)に向けて

SDGs=持続可能な開発のために国連が発信した世界共通の17の達成目標。

このSDGsをテーマに、東京からビジネスマンの研修を受入ました。
余市の一次産業や人びとを素材に、SDGsを視野に入れた課題解決を考えるという研修です。
これまでも似たようなプログラムはカレッジや学生実習の中で実施したことがありますが、
企業人と一緒にやってみたいとずっと思っていたので、最初からとても楽しみにしていました。

今回は環境省の公募で、5倍の倍率から選ばれた人たちです。
モチベーションが高く、誠実な若者ばかりで、大変刺激的な交流やディスカッションができました。

SDGsというテーマにそれほどたくさんの人が注目しているということにまず驚きました。
確かに、注意していると、メディアに取り上げられない日はない、
ピコ太郎が歌っていたり、ビジネス検定になったりしているくらいですから、
少なくとも言葉としては浸透してきているのでしょう。

エコビレッジは「個人も地球も幸せになる方法」というスローガンで
人びとの暮らしを大切にしながら、地域や社会、世界とのつながりを
意識して、包括的に課題を解決する活動として取り組んできました。

でも、SDGsほど政府もビジネス界も真剣に取り上げなかったし、
言葉も考え方もあまり普及しなかったように思います。
ビレッジ=コミュニティ=特殊な人たちの集まりという印象を
与えたからでしょうか。

確かにそういう側面は否定できません。
エコビレッジが一部のストイックな人や極点な理想主義者の集まりだとしたら、
その運動は広がらないし、社会を変えるメカニズムにはなり得ないでしょう。
木原さん.JPG
私もそう考えて、今の活動拠点を余市に移し、各分野の専門家らと構想を描いた2013年に
当初の目標を「自給的な個人の集まるコミュニティ」から
「地域を巻き込んだトランジション活動」に変えたのでした。

今年は余市で7年目。「地域を巻き込んで」の部分はかなり前進してきました。
最近は近隣の農家さんだけでなく、役場や商売の方々ともお付き合いが広がってきました。
だからこそ、このような研修の受け入れもできるようになったと自負しています。

今年は、観光協会と連携した農泊推進事業で企画やコーディネートの役割を担うようになり、
札幌にいた頃は見えなかった魅力やこの町のポテンシャルを多いに感じるようになりました。

一方で、矛盾や難しさも強く感じています。
自然に依存した家族単位の農業や漁業は決して楽ではありません。
担い手はどんどんアジアの外国人に移りつつあり、「日本人なら続かない」という声をよく聞きます。
港.JPG
SDGsは「一人も残さない」ことを目指しています。
「美味しくて安全な食べ物を作る人たちの幸せ」を真剣に考えるとしたら、
その道は本当に難しいはず。

都会のビジネスマンは「余市にはこんなに素晴らしいものがある」と褒めてくれ、
「SNSで発信してもっとたくさんの人に知ってもらいましょう」
「もっと早く、もっと高値で売れますよ」と言うけれど、
たくさんの人が来ても、注文が殺到しても、農村には人がいないから対応できない。
そして、小規模で丁寧な生産や販売を心がけている作り手は、それを望んではいないのです。
中井さん.JPG
エコビレッジを訪れる人は、普段何気なく食べているものや身に着けているものに
うんと時間をかけること、苦労すること、プロセスで悩んだり、考えたりすること、
だからこそ最後に達成感が得られるという体験をして、「人の生き方、働くことの意味」を
見つけようとするのです。

「効率が悪い」「お金にならない」「雇用が生まれない」
よくわかっています。それが美徳だと思っているわけではないけれど、
だからといって「早くて安い甘い道」を安易には選んでいいのでしょうか。
その道は、もしかしたら、安心安全とは程遠いもの、自然や生き物へのダメージ、
生き甲斐遣り甲斐を感じられない仕事を生み出してきたあの道に通じるのではないか。
そんな不安を感じるのです。

どんなに優秀であっても都会のビジネスマンたちがわずか1日や2日で、
農村の課題、日本、そして世界の深い悩みを解決できるわけがないのは自明です。
研修.JPG
でも彼らが「都会の便利な暮らし」が、農村の自然やそこで生きる人たちに
支えられていること、「こんな効率の悪いこと、お金にならないこと」に
人生を懸けている人間がいることを少しでも伝えられたらいい。

「短期間で決戦しなくてはいけない」「効率優先、結果至上」の
ビジネス界の常識では正解が導けても、
「反対側も見る」「100年後も考える」新しい観方に変えると
そうはならないという難しさ、もどかしさを感じてくれたら
それはとても価値ある交流だったと思います。
(上から目線で恐縮ですが)

17のゴールを視野に包括的に考えたら、答えは簡単に出るわけがない。
むしろSDGsは「答えのない命題」であり、
「あれもある、これも考えなくちゃ、こう観たらどうなる」と
悩むためのツールと言ってもいいかもしれません。

最近のSDGsブームは「一応知っておかないと取り残される」
「予算要求や入札に必要」という動機で集まっている人もいるでしょう。

言葉は知っている、バッジもつけている、検定も合格するかもしれない、
でも「やってるフリだけ」の人をSDGsウォッシュと呼ぶようですが、
そんなふうにはなりたくないものです。

posted by junka at 21:09| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2018年10月22日

2018年感謝祭を終えて

2018年の感謝祭。
直前まで台風の心配があったので、あまり大規模に広報も行わず、
「誰も来なくても内輪でお祝いしようね」という気持ちで準備しましたが、
当日は思いがけない青空。
感謝祭②.jpg
初めての方、懐かしい方、町内の家族連れ、
いろいろな方々が集い、今年の成果をお披露目しました。
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2018年は活動開始して10年目、
スタート当初は札幌を中心とする都市部の会員による
会員のための活動だったので、感謝祭も会員の手作りで、
お世話になった人へのお礼や自分たちの発表会として
開催していました。

今ではプレイヤーは会員よりも地域住民にシフトし、
また、ツーリズムや地域づくりなど活動の幅が広くなった分、
一見さんや子どもも増え、参加者の顔ぶれも多様になりました。
感謝祭.jpg
多くの人に体験の機会と場を提供、
収益、雇用、人材育成、
行政や企業、専門家との連携、
地域づくり・・・
さまざまな期待や需要も感じています。
感謝祭④.jpg
自給的な暮らしや個人の生き方、働き方が中心テーマだったころと比べると
忙しさも半端ではなくなっています。
私も今年の夏はほとんど休みなしでした。

このまま忙しくしていっていいのかな、
自分たちのやりたいことを見失わないようにしなくちゃ
と不安に感じることもあります。

それでも、まだまだ進めと言われているような気がして、
広がっている世界の先に希望を信じながら
焦らず、進んでいこうと思います。

感謝祭⑤.jpg



posted by junka at 14:55| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする