2014年12月31日

エコビレッジという働き方

最近、友人が出版した本を読みました。
「本当の仕事」(日本能率協会マネジメントセンター)

著者の榎本さんは私がフィンドホーンのエコビレッジで
研修を受けたときに出会った方で、
コーチングの世界では日本の一任者です。

「もし今のまま働き続けて、人生最後に
後悔しないと言い切れますか?」
本の帯にそう書いてありました。

私もそう自問して公務員の仕事を辞めました。
行政マンとしての仕事や生活にはそこそこ満足していましたが
実は周囲の人が想像するほど葛藤はありませんでした。

もし人生が3回あったら、3回目にはバリバリの官僚として
活躍する選択もありだと思いましたが、残念ながら
2回目や3回目の人生は誰にも保証されていません。
20代で一度死ぬ目に遭っている私には
その決定はごく自然なことでした。

とはいえ「自分のやりたいことを仕事にする」
のは決して簡単ではありません。
私の場合、フリーになって10年、
みんなに「何で食べてるの?」と不思議がられますが、
幸いなことに、自分が楽しいと思えること、
本当に価値があると信じられる思えることだけを
しようと決めてからは、いわゆる稼ぎの仕事
(やりたくないがお金のためにする仕事)は
しなくてもよくなりました。

「やりたくない仕事」をしなくても死なないのは
幸運と言ってよいでしょう。
でも「本当にやりたいこと」を実現できているか
というとまだまだです。

私はヨーロッパのエコビレッジを訪れたときの
感動が直接的なきっかけとなり、
これを残りの人生のテーマにしようと思って
今の活動を立ち上げました。

エコビレッジの意義や価値は様々ですが、
私がそこでもっとも感激したこと、
それは、美しい景色や可愛らしい建物でもなく、
エコロジカルな技術でもなく、
みなが自分のペースや個性を守りながら
生き生きと働いている姿でした。

誰も誰にも命令されず、契約もルールもない。
ほとんどの場合は無給もしくは小遣い程度の手当で
自分と仲間と地球のためにそれぞれがやりたいこと、
できることをベースに役割を果たし、
感謝し、感謝されるチャンスに満ちた暮らしでした。

もちろん内部で衝突や対立はありました。
ストレスの解消やモチベーションの維持も
やはり課題となっていました。

でも「言ってもどうせ無駄」と諦めたり
「言わなくてもわかるだろう」と
おろそかにしてしまいそうな
コミュニケーションを丁寧に重ね、
メンバーが違いを認め合って
それぞれの「やりたいこと」
みんなが「やりたいこと」を実現しようと
しているその姿勢は尊敬に値するものでした。

「みんながやりたいことをしたら組織が成り立たないでしょう」
と多くの人が言います。
今年のシーズン中はチームのキャパシティを超える
ことがたびたびあり、私もそんなふうに感じたことがありました。

みんながやりたいことをして成り立つ組織や社会・・・

その本を読んで、そんな社会が必ずしも理想論ではない、
そして私が「本当にやりたいこと」は
そんな社会の実現なんだということを、
かつてのエコビレッジでの感動とともに
改めて思い起こしました。

「ひとたびコミットメントすると、
あらゆる力が働いてその意思を助けてくれる」
と著者の榎本さんは言っています。

私自身もそのことを体験しました。
神とはおよそ縁のない私が言うのもなんですが、
今の活動をはじめてから、人の手が及ばないところで
誰かが背中を押してくれている、
そう感じることは一度ならずありました。

もちろんいつも期待したとおりにはことは進まないないし、
批判や失敗もたくさんあります。
「よくめげないよね」と人には感心されますが
(半ば呆れられているかもしれませんが)
私利私欲ではない、大きな目的をもって進んでいる限り、
おおいなる力がきっと助けてくれると今では確信しています。

その本を読んで、そのことを改めて確認し、
来年に向けて前進する勇気をもらいました。
posted by junka at 17:07| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2014年12月14日

格好いい大人たち

昨夜は学び舎の施工をしていただいた武部建設さんの
結ホール(岩見沢)に招かれました。
美味しいお酒と食事を楽しみながら
改めて学び舎の思い出話を語り、
2014年で最も幸せな一夜を過ごしました。

今頃になって白状しますが、手づくりの家のよさ、
職人さんの手刻みの価値なんてまるでわかっていなかった、
何となく表層的に理解していただけだったんだと、
気づいて愕然としたのは、工事も最後の最後、
完了検査の前の日でした。

建物の引渡しを翌日に控えた日の朝、
やりかけの塗装で散らかった室内を見て途方にくれた私は、
せめて大工さんが天塩にかけた柱や梁くらいは
きれいにしようと思って掃除をしました。

改めてその柱や梁を間近に見ると、
「この鉛筆跡は山谷さんのものだ」とか
「この美しい継ぎ目は山本さんが刻んでくれたのかしら」と
一つひとつの材料がとても愛おしく感じられました。

そのとき初めて手刻みの意味、
そして職人さんたちの技やそれに込められる思いを
肌でわかったような気がしてはっとしました。

遠目にはわからない細かな作業の跡を確かめながら、
(それは何度も見ていたにも関わらず)
私のような違いのわからない施主のためにも
こんなに丁寧に作ってくれたんだなあと思ったら
泣けて泣けて、涙が止まりませんでした。

今回、学び舎のセルフ施工に関わったおよそ40人の人たちは、
多かれ少なかれ、私と同じ感謝や尊敬の気持ちを抱いたでしょう。
それは作り手の姿を直に見て、少しでも自らの手を
動かしたからこそ味わえる感動です。
その経験は立派な建物と同じくらいありがたいものでした。

大工さんたちにとってはいい迷惑だったと思います。
彼らの大切にしている世界に無神経に立ち入って
傷つけたかもしれないと猛省したこともありました。

でも、私はものづくりや職人さんの素晴らしさを
多くの人に伝えたいと思っています。
必ずしも技術の継承という意味ではありません。
その人たちの姿こそがよい社会を創る精神性であり、
希望だからです。

その思いの原点は、私が小学生の頃、休日を過ごした
父の職場である家づくりの現場での経験に遡ります。

小さな工務店で住宅の設計や施工管理の仕事をしていた父は、
東北から出稼ぎに来られている大工さんのお世話をよくしていました。

父はおよそ商売の上手な人ではなかったし、
決して世に名前を残すような立派な仕事をしたわけではありませんが、
いつも楽しそうに誇らしげに仕事の話を私にしました。

私はそんな父を誰よりも尊敬していたし
家づくりで活躍する大工さんや左官屋さんや板金屋さんは
みんな私のヒーローだったのでした。

私が社会へ出ることや働くことに対して
ポジティブなイメージと共に大人になったのは、
間違いなくその頃の体験に影響を受けています。
それは後から思うととても幸運なことでした。

一方、日ごろ子どもや学生と接していて感じることは
彼らが社会や労働に対して消極的、悲観的だということです。
そんな若者が創りだすこれからの社会に不安を覚えざるを得ません。

若者が意欲や希望を持って社会に参加するためには
憧れの芸能人やスポーツ選手だけでなく、
自分の周囲に格好よく働く大人の姿を見ること、
誇りとやりがいを持って仕事に勤しむ
大人との出会いが必要です。

「大工である父親を格好いいと思って大工になった」
という30歳の棟梁。

その若さには似つかわしくないほどの
深い思いやりと静かな自信に溢れた仕事ぶりを
見せてくれました。
お父さんの話を聞いてやっぱりなと納得しながら、
こんな素敵な職人さんの姿を
多くの若者に見せてあげたいと思いました。

そして50年のベテラン大工さんが
1枚も写真を持ってないと知って、
私がこの人たちの姿を伝えようと決めました。

昨夜はみんなでメーキングの映像を見ながら
「あの時は大変だったよなあ」
「お互いに気持ちの入った仕事だったね」
と懐かしく振り返り、感無量でした。

本当に素敵な職人さん達、そして素晴らしいチームに
恵まれていい仕事ができたことを幸せに感じています。
posted by junka at 13:11| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2014年12月04日

モンガク谷ミーティング

モンガク谷の仲間(生産者)に集まってもらい、
今年の余市エコカレッジの振り返りをしました。

先に反省しちゃいますが、今年は結果的に
学び舎建設工事がトップマネジメントとなり、
カレッジの方は集客も事前準備も十分できませんでした。

IMG_0399.JPG全般的にプログラムの回数を縮小し、
さらに、近隣の生産者仲間にお願いして
講師やホームスティを受け持ってもらいました。

負け惜しみと言われそうですが、
収益を度外視すれば(するな!)
このやり方は今年の実情には合っていただけでなく
いろいろな発見もありました。

特に、周辺農家がプログラムに関わってくれたことは
受け入れの幅が広がったという収穫に加えて
参加者の高評価にもつながって
結果的にとてもよかったと思っています。

施設や技術やプレゼンテーションも大事ですが、
参加者の満足度はやはり「心のこもったおもてなし」や
「真摯なコミュニケーション」に比例するものです。

今思うと、今年は私自身が工事のことで頭がいっぱいで、
常に宙を浮いているような状態でした。
特に、職人さんやボランティアの賄いをしながら
2~3つのプログラムを動かしていた頃は、
気ばかり焦ってなかなか目の前のことに集中できませんでした。
参加者の声からそのことに改めて気づいたのです。

工期の遅れは止むを得ないものだったとしても、
自分の計画の甘さををつくづく反省しています。
そして、そんなときにNPOや近隣の仲間が
支えてくれたことに心から感謝しています。

今日の会議でも「来年のフットパスは泊まりもやりたい」
「食事は農家の持ち寄りランチがいい」などなど
積極的な意見も出てきました。

来年度の計画は冬の間にじっくりと考えていましたが、
あっという間に正月、節分となりそうなので、
年内中に来年度のプログラムや協議会に関する素案を
作ることにしました。

すっかり雪景色の余市で、今から来年の春が楽しみです。




posted by junka at 22:17| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする